この試合でテレビ中継の解説を務めた桑田氏は、まず「ナイスピッチング」と田口をたたえながら、すかざず「２つ質問があります」と切り出した。

　ひとつ目は四回に浴びたエルドレッドの本塁打について。どう感じたかと問われた田口は「コース、高さはよかったと思ったんですけど」と振り返り、「自分の中ではしっかり投げ切ったと。相手が外国人で腕も長いので、打ったバッターを褒めたい」としっかりした口調で回答した。これに対し桑田氏は「打ったバッターを褒めるだけではなく、次にこの経験を生かして。あそこはボールでいい、と」とアドバイスを送った。

　ふたつ目の疑問は「なぜ完投しなかったか」。これには田口も「監督に聞いてもらっていいですか」と苦笑い。桑田氏は「僕だったら『投げさせてください』って言います」ときっぱり。すると田口も「投げたかったんですけど…村田ヘッド（コーチ）に『グッジョブ』と言われたんで」と明かした。

　これを聞いた桑田氏は「いや、『まだです』って言わなきゃ」とダメ出しをすると、「田口くんは完投していくべき」と論した。体力的には、まだいけるという田口に「次に同じ場面がきたら『投げさせてください』と言って」と提案。「ベンチに戻ったら、監督もしくはピッチングコーチが近寄って来るでしょ。自分からそっと行って、『まだもう一回行きます』と言うと向こうも考えてくれる」とアドバイス。「僕も若いころ、何度かやったんですよね」と明かした桑田氏は、「そうやって完投して打ち取る感動を、何度も味わってほしい」とし、最後は「老婆心ながら、次も頑張ってください」とエールを送った。

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